⭐ 今日のクイズ
エンディングノートを「知っている」と答えた人のうち、実際に書いたことがある人の割合はどのくらいでしょう?
① 約3割
② 約2割
③ 約1割未満
(答えは記事の最後に!)
先日、私が住む町からほどなく近い地域包括支援センターに勤めていらっしゃる社会福祉士の方から、記事の投稿依頼をいただきました。消費生活センターに勤める知人が、終活アドバイザーとして細々と活動する私のことを紹介してくださったのがきっかけです。
「どういった内容で書けばよろしいですか?」とお聞きしたところ、「終活に関することであればなんでも」とのお返事。幅の広い、難しいご依頼だと思いながらも、私は「自分のエンディングノートを1冊購入し、無理せず焦らず少しずつでいいので自分の想いを綴っていきましょう」という趣旨のA4一枚の文章を寄稿しました。包括支援センターの広報誌に掲載され、社会福祉士の方と知人の両方から感謝の言葉をいただき、とてもありがたく思いました。
ところが——その後、思いがけないところから「終活アドバイザーやってんの?」という声が聞こえてきたのです。それが、妻でした。
妻との会話——「書かへん」のリアル
広報誌に掲載された記事を、知人(妻の友人でもあります)が妻に送ってくれたようで、「旦那さんからこんな記事を書いてもらったよ」という話を聞いた妻から声をかけられました。以下は、そのときのやり取りです。
妻 「自分のエンディングノート書いてんの?」
私 「自分のは作って少しずつ書いてるよ」
妻 「ふ~ん」
私 「ノートはあるから書いてみる?」
妻 「書かへん」(即答)
私 「なんで?」
妻 「めんどくさい」
私 「・・・」
妻 「あたし字書くの嫌いやし、書くほど資産もないし」
私 「いやいや、資産があるかないかの問題じゃなくて、たとえ少額でも保有する口座くらいは書いておいたほうがいいし、それが元で将来相続争いに発展することもあるんやから」
妻 「(自信満々に)そんなんならへんわ」
私 「・・・それにあんた既往歴あるやろ。過去に入院もしたし今も通院してるし、そういったこともエンディングノートには書き残せるんやで」
妻 「大丈夫、あたしのことは全部〇〇(娘の名前)がわかってるから。財産も全部子供らに残すつもりやし、死んだら樹木葬にしてって頼んであるから」
終活アドバイザーとして活動しながら、まさに自分の家族に一番説得できていない——そんな現実を突きつけられた会話でした。
「書かない」のは、うちの妻だけじゃなかった——統計データが示す現実
このやり取りはあくまで一例ですが、終活の相談の場ではよくあることだと感じています。実際にネット調査による「終活ノート・エンディングノートに関する意見統計」でも、同じ傾向が数字として現れています。
エンディングノートを書かない理由の上位として挙げられるのは——
- 「死を意識するのが怖い・縁起が悪い」
- 「何を書けばよいかわからない」
- 「書くのが面倒・時間がない、自分には関係ない」
エンディングノートの認知度は約9割にのぼる一方、実際に書いている人はわずか約1割(8%)という調査結果があります。
「知っている」と「書いている」の間には、これほど大きなギャップがあるのです。
口頭で伝える本人の安心感と家族の危機感は表裏一体
妻の発言を上の統計と照らし合わせてみると、興味深いことがわかります。
「めんどくさい」「字を書くのが嫌い」は、まさに「面倒・時間がない」に相当します。「書くほど資産もない」は「自分には関係ない」の言い換えとも言えます。そして「娘が全部わかってる」「樹木葬にしてって頼んである」という言葉は、すでに口頭で家族に伝えてあるという安心感から来ています。
妻の言葉は、統計データが示す「書かない人の典型」とほぼ一致していました。
だからこそ、私は妻を責める気にはなれませんでした。妻は決して無責任なのではなく、自分なりの方法で、自分なりに備えているのです。ただ——その備えが「書かれていない」だけで。
「口頭の備え」が抱えるリスク
「娘が全部知ってる」は、たしかに大きな安心です。でも、それが機能するのは娘が動ける状態のときだけです。
娘が仕事中あるいは出張中だったら。もしくは娘自身が入院していたら。さらには配偶者である私が対応しなければならない場面が来たら——私は妻の病院でのやり取りに関することや、銀行口座の詳細も、すぐには答えられません。
「書く」という行為は、情報を一点集中から分散させることでもあります。誰かひとりの記憶に頼るのではなく、紙に残すことで、誰でも・いつでも・確認できる状態をつくる。それがエンディングノートの、地味だけれど本質的な役割です。
📝 ポイント
「口頭で伝えてある」は、伝えた相手が動けるときだけ有効。書き残すことで、家族みんなが助かります。
「書いて」と頼んでも動かないとき——一番効果的な方法
「エンディングノート書いてよ」と頼んでも、その必要性をどんなに訴えても、書かない人はそう簡単には動きません。それどころか、言えば言うほど意固地になってしまい、逆効果になることもあります。
そういった場合に一番効果があるのは、その人が信頼できる人から話してもらうことです。
今回のケースでいえば、私たちの娘がその立場にあります。夫である私がいくら言っても動かない妻も、娘から「お母さん、手伝ってあげるからいっしょに書いてみよっか」と言われれば、少し耳を傾けてくれるかもしれない。そんな期待を、密かに抱いています。
ご自分のご家族の中にも「この人なら」という方がいらっしゃるかもしれません。ご家族でなくても、知人・友人など交友関係の中にそういった方がおられたら、その方を通じてお話しいただくのも良い方法です。
もうひとつ効果的なのが、地域で定期的に開かれる「終活セミナー」にご一緒に参加することです。家族や身近な人の言葉は「また言ってる」と流されがちでも、セミナー等で専門家から聞く話は、素直に届くことがあります。その雰囲気に影響されて「ちょっと始めてみようかな」というきっかけを、セミナーがつくってくれることは少なくありません。
📝 ポイント
動かしたいなら、自分が言い続けるより「そのひとが信頼するひと、心を寄せるひと」に頼む。終活セミナーへの同行も、きっかけづくりとして有効です。
まとめ
- エンディングノートの認知度は約9割、でも実際に書いている人は約1割(8%)
- 「書かない理由」は、面倒・縁起が悪い・自分には関係ない、が上位
- 「口頭で家族に伝えてある」は、その人が動けるときだけ有効
- 書き残すことは、特定の誰かへの負担を家族全体に分散させる行為
- 書いてほしいなら、自分が説得するより「信頼できる人」に頼むのが近道
- 終活セミナーへの同行も、きっかけづくりとして効果的
地域包括支援センターへの寄稿をきっかけに、改めて気づかされました。終活の大切さを外に発信しながら、一番身近な家族とまだ道半ばであること。それもまた、終活アドバイザーとしての正直なリアルだと思っています。
⭐ クイズの答え
③ 約1割未満(約8%)
エンディングノートを「知っている」人は約9割にのぼりますが、実際に書いたことがある人はわずか約8%という調査結果があります。「知っている」と「書いている」の間には、これほど大きなギャップがあります。だからこそ、「何から始めればいいか」を具体的に示すことが、終活アドバイザーの大切な役割のひとつだと感じています。
「ら・し・さノート」について
このブログでもたびたびご紹介している「ら・し・さノート」は、NPO法人ら・し・さが監修したエンディングノートです。自分らしく今を生きるための記録として、医療・介護の希望から日々の思い出まで、無理なく書き進められる構成になっています。「何を書けばいいかわからない」という方にこそ、手に取っていただきたい一冊です。
参考文献
特定非営利活動法人ら・し・さ『終活アドバイザー講座〜自分らしく今を生きる』(執筆・監修)/ら・し・さノート
終活ノート・エンディングノートに関するネット調査(意見統計)
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50代から始める「自分らしい」老後の設計図~後悔しない終活ロードマップ 
