亡くなった方のうち、相続税がかかる人の割合はどのくらい?
① 約10%(10人に1人)
② 約30%(10人に3人)
③ 約50%(10人に5人)
そう思っていませんか。
実はこの誤解こそが、相続トラブルの一番の元凶になっています。
今日は「相続税対策」と「相続対策」の違いから、揉めない相続のために本当に大切なことをお伝えします。私自身の、母の遺言のエピソードも交えてお話しします。
①「相続税対策」と「相続対策」はまったく別物
「相続税対策」と「相続対策」。
似ているようで、まったく別物です。
相続税対策は、税金を減らすための節税の話。
これは確かに、ある程度の資産を持つ方だけの話です。
一方で相続対策は、揉めずに分けるための準備のこと。
こちらは、ほぼすべての家庭に必要です。
この区別ができていないことが、まさに相続トラブルの元凶だと思います。
「お金持ちがするもの」という誤解で相続対策をしないまま、いざその時を迎えてしまう。
そんなご家庭は、決して少なくありません。
相続税対策=税金を減らす話(一部の人向け)。
相続対策=揉めずに分ける準備(ほぼ全員に必要)。
この2つは別物です。
②相続税がかかる人は、実はごくわずか
亡くなった方のうち、相続税がかかる人の割合はどのくらいだと思いますか。
国税庁の統計によると、相続税の課税対象となるのは9.9%ほど。
およそ10人に1人の割合です。
残りの約9割の方は、相続税とは無関係。
だから多くの方が「うちは関係ない」と思ってしまうわけです。
(出典:国税庁「令和5年分 相続税の申告事績の概要」2024年12月公表)
なぜこんなに少ないのでしょうか。
それは「基礎控除」という仕組みがあるからです。
金額にすると「3000万円+600万円×法定相続人の数」。
この金額分までは、相続しても税金がかかりません。
そのほかにも、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)や、配偶者の税額軽減などもあります。
こうして、ほとんどの家庭では相続税がかかりにくいようになっているのです。
相続税がかかるのは約10%(10人に1人)。
基礎控除「3000万円+600万円×法定相続人の数」までは課税されません。
多くの家庭は相続税とは無関係です。
③それでも「相続対策」は全員に必要
ただし、知っておいてほしいことがあります。
この基礎控除、実は大幅に減らされているのです。
2014年12月以前は「5000万円+1000万円×人数」でした。
それが今は「3000万円+600万円×人数」。
控除が減るということは、課税対象者が増えるということ。
つまり、事実上の増税です。
増税は、所得税や消費税だけの話ではありません。
こうやって至るところで進んでいる、ということは知っておきましょう。
さて、ここが本質です。
仮に相続税がかからないとわかったとしても、相続対策は必要です。
たとえ遺産が1000万円でも、残された人には重要な大金です。
分け方で揉めるには、十分な金額です。
「金額が小さいほどよく揉める」という話も聞きます。
数百万円を巡って争族(そうぞく)になり、一家がバラバラになった例も、よく耳にします。
基礎控除は事実上の増税で縮小傾向。
そして相続税がかからなくても「揉めない準備」は必要です。
金額が小さくても争いは起こります。
理想の相続とは「家族の絆が強まる相続」
では、理想の相続とは何でしょうか。
「税金ゼロを目指すぞ」でもなければ、「遺産を1円でも多くもらってやる」でもありません。
理想の相続とは「家族の絆が強まる相続」です。
亡くなった方の希望が尊重され、相続人みんながお互いの立場を思い合う。
そして全員が納得する分配ができる。
そのために欠かせないのが、普段からのコミュニケーションです。
「うちはお金がないから相続なんて関係ないし、話し合いもいらん」。
そんな視野の狭い考えは、今日限りぜひ捨ててください。
とはいえ、いきなり「相続の話し合いをしよう」と切り出すのは、なかなか難しいものです。
お盆やお正月に家族が集まったとき、古いアルバムを一緒にめくりながら昔話をする。
そんな何気ない時間の中で、「この家、どうしようか」「あの土地のこと、覚えてる?」と自然に話が出てくることもあります。
まずは、そんなきっかけから始めてみてください。
母が亡くなったあと、私と妹とで遺産分割協議をすることになりました。
そのとき、母が残した手記の中に、ある手紙が見つかったのです。
実は母の妹(私にとっては叔母)が預かってくれていた、母の自筆の遺言でした。
そこには、預貯金や保険金の分け方、不動産の相続のこと、そして装飾品や着物の処分のことなどが書かれていました。
その短い遺言の最後は、こう締めくくられていました。
お金の分け方を書き残してくれたこと以上に、この一言が、私と妹の心をひとつにしてくれました。
相続とは、ただ財産を分けることではない。
母が最後に、そう教えてくれた気がします。
答えは① 約10%(10人に1人)です。
相続税がかかるのは、ごく一部の方だけ。
でも「相続対策(揉めない準備)」は、金額の大小にかかわらず、ほぼすべての家庭に必要です。
「ら・し・さノート」には、財産のことや、家族へのメッセージを書き残しておくページがあります。
母の遺言の最後の一言のように、あなたの想いを書き残しておくこと。
それが、残された家族の絆を守ることにつながります。
▶ ら・し・さノートの詳細はコチラ
【参考文献】特定非営利活動法人ら・し・さ『ら・し・さノート』/『終活アドバイザー講座~自分らしく今を生きる』/国税庁「相続税の申告事績の概要」
【画像出典】yahooフリー素材から引用
50代から始める「自分らしい」老後の設計図~後悔しない終活ロードマップ 
