⭐ 問題
相続税がかかるのは亡くなった方の約1割といわれています。
この割合は10年前と比べて、どう変わったでしょうか?
① ほとんど変わっていない
② 約1.3倍に増えた
③ 約2.4倍に増えた
(答えは記事の最後に!)
前回の続きです。
終活のオフ会を二日連続で開いて、49枚のカードを使ったワークをやった話を書きました。今回はその結果の話です。
参加者の方の〇×を、全部記録させてもらっていました。49枚 × 9人分。せっかくなので集計してみたら、思っていた以上にいろいろ見えてきました。
まず、全体の数字
9人の平均で、49枚のうち 25.2枚が× でした。
半分ちょっとです。つまり「まだ備えができていないこと」が、一人あたり25個ある。
これを多いと見るか少ないと見るか。私は「そんなもんだろうな」と思いました。むしろ、終活に関心があってオフ会に来るような人でも半分は×なんだ、というのが実感です。
ちなみにこの9人、年代は40代から70代まで。男性2人、女性7人。子育て中の方もいれば、お孫さんが4人いる方もいる。おひとり様の方も、ご夫婦二人の方もいます。
全員が「×」だった、たった1枚
49枚のうち、9人全員が×をつけたカードが1枚だけありました。
これです。
「介護を頼みたい人の了承を得ている」
9人中9人。ひとりも〇がいませんでした。
これ、私はけっこう衝撃を受けました。
似た問いに「自分の介護をしてくれる人がいる」というのがあって、こちらは9人中2人が〇でした。つまり「たぶんこの人が見てくれるだろう」と思っている人は、いることはいる。
でも、その人に頼んでいない。
「息子が見てくれると思う」と思っていても、息子さんはそんな話を聞いていない。「妹がいるから大丈夫」と思っていても、妹さんはそのつもりがないかもしれない。
介護の話って、頼む側も頼まれる側も切り出しにくいんですよね。「私が倒れたらお願いね」なんて、言われたほうも返事に困ります。
だからみんな、頭の中で決めたまま止まっている。9人全員が。
次に多かった「×」
全員ではないものの、9人中8人が×だったカードが6枚ありました。
- となり近所とのお付き合いがある
- 病歴・持病の情報を整理し持ち歩いている
- 認知症になって加害者になる可能性を知り、対策している
- 自分の遺影を準備している
- 自分の遺品整理は遺族に任せる
- 自分史を書いている、書くつもりだ
「遺影」と「自分史」は、まあそうだろうなと思います。優先順位は低いでしょう。
気になったのは上の3つです。
となり近所との付き合い。 これ、オフ会でも話題になりました。「自治会はあるけど、顔を合わせることはない」という方が多かった。マンションだとなおさらだと思います。倒れても、誰も気づかない。
病歴・持病の情報。 お薬手帳を持っている方はいました。でも「いつ何の病気をしたか」まで持ち歩いている人はいなかった。救急車を呼ばれたとき、家族が来るまで誰もそれを説明できません。
認知症の加害。 これは知らない方が多かったです。認知症の方が線路に立ち入って電車を止めてしまった場合、家族に賠償責任が及ぶことがある、という話です。自治体によっては保険を用意しているところもあります。私も詳しくないので、これは勉強し直します。
逆に、全員が「〇」だったカード
こちらも5枚ありました。
- 死を話すことは縁起が悪いことじゃない
- 私は今とても幸せだ
- いくつになっても学び続けたい
- どのくらいの財産があるか把握している
- 自分の意思を書いて遺すことが大切だ
これを見て、少し反省しました。
私はオフ会の最初に「終活の話は不謹慎じゃないんですよ」という説明を用意していたんです。でも、そもそも全員が最初からそう思っていた。
考えてみれば当然で、そう思っていない人は終活のオフ会になんて来ませんよね。来てくれた時点で、その話はもう終わっている。
次回はここの説明を短くして、そのぶん別の話に時間を使おうと思います。
「どのくらいの財産があるか把握している」も全員〇でした。参加された方はお金に関する知識、マネーリテラシーの高い方が多いんだなという印象。集まる人の傾向が出ますね。
意見が割れたカード
〇と×がだいたい半々に割れたカードもありました。こういうのは、話し合うと面白いです。
- 毎年お墓参りは欠かさない
- 本当に困った時、助けてくれる友達がいる
- 死ぬまでお金には困らない
- セカンドライフに見合う保険を掛けている
- ピンピンコロリで死ぬ自信がある
- 自分の入る墓がある、または準備予定だ
「本当に困った時、助けてくれる友達がいる」で意見が割れたのは、少し切なかったです。
あと「ピンピンコロリで死ぬ自信がある」。これに〇をつけられる人って、根拠があるわけじゃないと思うんです。でも、そう思えること自体が一つの強さなのかもしれません。
人によって、×の数はぜんぜん違う
面白かったのが、人による差です。
いちばん×が少なかった方は49枚中12枚。いちばん多かった方は33枚。3倍近い差があります。
でもこれ、×が少ない人が偉いという話ではありません。
×が多かった方は、正直に自分を見た人でもあります。「まあ大丈夫だろう」で〇をつけていけば、×は減りますから。
実際、オフ会でも私はこう言いました。
「×が多いのは悪いことではありません。それだけ気づけたということです。今日はその中から一つだけ選べれば十分です」
年代別に見ると、40代のほうが50代より×が多い、という結果も出ました。まあ人数が少ないので、たまたまかもしれません。回を重ねたら、また見てみます。
それで、みなさん何を選んだのか
最後に一枚だけ「まず最初にやること」を選んでもらいました。
内容は人それぞれなので書きませんが、感想でこう言ってくださった方がいました。
「カードの項目で、今やらなくてはいけないことが見える化できました。すぐアクションを起こせることが見えたのも助かりました」
「中々、項目を拾い出してくることは自分では無理です」
この二つ目のほうが、私には重かったです。
言ってくださったのは70代の方で、親御さんを3人看取ってこられた方です。私より終活の実体験はずっと豊富なはずの方が「項目を拾い出すのは自分では無理」と言う。
つまり、知識の問題じゃないんですね。一人だと、そもそも何を考えるべきかのリストが出てこない。
49枚のカードは、そのリストを外から渡してくれる道具だったんだと思います。
で、私がやること
集計してわかったことを、次回に反映します。
- 「介護を頼みたい人の了承」は、絶対に時間をかけて扱う。 全員×だったので。「どう切り出すか」の話まで踏み込みたい。
- 「終活は不謹慎じゃない」の説明は短くする。 来てくれる人はもう分かっている。
- 意見が割れたカードを、話し合いのお題に使う。 盛り上がるので。
あと、これは参加者の方から教えていただいたのですが、三井住友銀行に「デジタルセーフティボックス」というサービスがあるそうです。
月額990円(税込)で、預貯金や保険、不動産といった資産のこと、医療・介護・葬儀の希望、IDやパスワードなんかを預けておける。3親等内の親族を10人まで受取人に指定できて、いつ誰に何を伝えるかを自分で決められるそうです。
ただし、何でも預けられるわけではありません。遺産分割に関することや、お金を動かせる暗証番号、病歴や投薬といったセンシティブな情報は登録できないと明記されています。遺言のような法的な効力もありません。そこは押さえておいたほうがよさそうです。
調べてみたら、同じようなサービスをやっている銀行は他に見当たりませんでした。三菱UFJは「そうぞくガイド」という無料の手続き案内、信託銀行系は亡くなった後の遺産整理が中心で、「生前にデジタル情報を預かる」という発想は三井住友だけみたいです。
もっとも、お金をかけない方法もあります。iPhoneには「故人アカウント管理連絡先」、Googleには「アカウント無効化管理ツール」という機能があって、どちらも無料です。国民生活センターも「まずは端末のロック解除情報を記録すること」を勧めています。
月330円を払う前に、まずスマホのロックをどう伝えるか。順番としてはそっちが先かなと思います。
おわりに
数字の話ばかりしてしまいました。
でも今回いちばん強く思ったのは、数字じゃないほうのことです。
同じ49枚のカードをやっても、答えは9人ぜんぶ違いました。当たり前なんですけど、実際に表にして並べてみると、その違いがはっきり見えます。
「終活はこうやりなさい」という正解は、やっぱりないんだと思います。
ただ、自分の答えを見つけるための道具は用意できる。私がやれるのはそこまでで、そこまでで十分なのかもしれません。
参加してくださった方が、こう書いてくださいました。
「終活を通して、今をどう生きるかにもつながってるなーと感じました」
これが聞けただけで、プリンタが動かなかったことは帳消しです。
また次回のオフ会をやるときは、告知します。
今日が人生で一番若い日なので、私も自分の一枚を選ばないといけません。
⭐ 問題の答え
正解は③ 約2.4倍に増えた
国税庁の統計によると、2014年の相続税課税割合は 4.4%でした。
2015年に基礎控除が引き下げられて以降、2024年には 10.4%まで上がりました。
10年で約2.4倍。
「自分の家は関係ない」と思っていた方にこそ、一度確かめてほしい数字です。
「ら・し・さノート」について
このブログでもたびたびご紹介している「ら・し・さノート」は、NPO法人ら・し・さが監修したエンディングノートです。項目に沿って書き込める構成なので、「何を書けばいいかわからない」という方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
参考文献
特定非営利活動法人ら・し・さ『終活アドバイザー講座〜自分らしく今を生きる』(執筆・監修)/ら・し・さノート
国税庁「相続税の課税件数等に関する統計」
Happy Endingカード(一般社団法人 日本Happy Ending協会)
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50代から始める「自分らしい」老後の設計図~後悔しない終活ロードマップ 
