⭐ 問題
最近ではエンディングノートの普及が増えつつあり、本屋や雑貨店、あるいは100均などでも取り扱われるようになり、スマホアプリも出回るようになりました。
ではエンディングノートを「持っている」人は、日本人の何%でしょうか?
① 約 13%
② 約 35%
③ 約 60%
(答えは記事の最後に!)
はじめての終活オフ会を開きました。
二日連続です。一日目が大阪の梅田、二日目が京都。それぞれ5人ずつ、合計10人の方に集まっていただきました。
……という書き出しをしておいてなんですが。
当日、まずプリンタが動きませんでした。
準備は完璧なはずだった
言い訳をさせてください。準備はしていたんです。
スライドは何度も見直しました。参加者の方お一人おひとりのプロフィールも読み込んで、「この人にはこう話しかけよう」というメモまで作りました。当日使う紙も、前日に印刷して確認済み。
そこまでやって、当日、プリンタが動かない。
しかも会場に着いてからモニターが映らない。開始時刻は迫ってくる。目の前が真っ白になる、あの感覚。
準備というのは、たぶん「トラブルが起きない準備」ではなくて「トラブルが起きたときに慌てない準備」なんだろうな、と後から思いました。まあ、そのときは慌てたんですけど。
早口になるな、とだけ考えていた
なんとか始まったものの、今度は自分の口が言うことを聞きません。
緊張すると早口になる自覚があります。だから当日は「ゆっくり、ゆっくり」とだけ頭の中で唱えていました。話す内容より、話す速さのことばかり考えていた気がします。
終わってから参加者の方の感想を読んで、トラブルの話は一つも出てきませんでした。誰も気にしていなかった。気にしていたのは私だけでした。
これ、終活の話にも通じるなと思っています。自分が思っているほど、まわりは細かいことを見ていない。だから完璧にやろうとしなくていい。
何をやったのか
内容の話をします。
前半は、「相続対策によくある3つの誤解」というテーマでスライド講義。後半は、49枚のカードを使ったワークです。
このカードは「Happy Endingカード」といって、一般社団法人 日本Happy Ending協会さんがつくったものです。一枚一枚に「自分の葬儀方法を決めて伝えてある」「かかりつけの医者がいる」といった問いが書いてあります。
それを一枚ずつ見せて、〇か×かで答えてもらう。〇は「もう備えができている」、×は「まだできていない」。
49枚が終わったら、×をつけたカードだけを取り出して、さらに二つに分けます。「Happy(備えなくても平気)」と「Risk(やらないと後悔する)」。
そしてRiskに分けたものを、もう一度分けます。「自分でやる」か「専門家に頼む」か。
最後に、そこから一枚だけ選んでもらいます。「私が、まず最初にやること」。
49枚が、最後は1枚になります。
なぜこんな面倒なことをするのか
前回、別のオフ会でこう言われたんです。
「終活が大事なのはわかった。でも、じゃあ何から始めればいいのか、その先が知りたい」
終活の情報って、探せばいくらでも出てきます。「終活やることリスト10項目」みたいな記事がたくさんある。私もそういう記事を読みますし、書いたこともあります。
でも読んだ人は、たぶん最後まで読んで「なるほど、そうなのか」と思って、それで終わってしまう。10項目全部やる人なんて、ほとんどいないはずです。
だったら、10個渡すより1個に絞ったほうがいい。しかも私が「これをやりなさい」と決めるんじゃなくて、その人自身に選んでもらう。
そう思って、この形にしました。
やってみて、いちばん困ったこと
うまくいったことより、困ったことを書きます。そのほうが役に立つと思うので。
いちばん困ったのは、カードの問いが「答えにくい」ということでした。
たとえば「となり近所とのお付き合いがある」という問い。
参加者の方から「自治会はあるし顔も知っているけど、生活時間帯が違うから普段は会わない。これは〇なの? ×なの?」と聞かれました。
たしかに、どっちとも言えます。
ほかにも「セカンドライフに見合う保険をかけている」という問いに、「NISAやiDeCoも未来への投資という意味では保険では?」という声。「病歴・持病の情報を整理し持ち歩いている」には、「お薬手帳なら持ってるけど、病歴までは持ってない」。
一日目は、ここで場が止まりました。何度も。
一晩考えて、物差しを一つ用意した
二日目までに考えました。
問題は、問いの範囲が広いことじゃない。〇と×の基準が人それぞれだから答えられないんだ、と。
そこで、二日目は始める前にこう言いました。
「〇か×か、判断の物差しは一つだけです。もし明日、自分に何かあったとき、家族や大切な人が困らないか。それだけで決めてください」
さっきの「となり近所」も、この物差しで考えると答えが出ます。顔は知っているけど普段は会わない。じゃあ倒れていても気づかれない。だったら×。
「かかりつけの医者」も同じです。よく行く病院はあるけど、かかりつけという認識はない。じゃあ家族もそのお医者さんを知らない。だったら×。
「あるかないか」を聞くと迷う。「困るか困らないか」「備えているかいないか」を聞くと決まる。
もうひとつ、こうも言いました。
「3秒迷ったら×にしてください。迷うということは、まだ備えきれていないということですから」
迷ってもいい、というより、迷ったこと自体が答えになる。そう決めてしまうと、みなさん手が止まらなくなりました。
迷うのは、悪いことじゃなかった
いま振り返ると、一日目に場が止まったのは、失敗ではなかったと思っています。
だって、即答できるということは、考えていないということですから。
「これ、どっちだろう」と手が止まった瞬間に、その人ははじめてその問いに向き合っている。止まった時間そのものが、意味のある時間だった。
参加者の方の感想に、こんな一文がありました。
「なんとなく決めてはいるけど、誰にも伝えてないなー、と気づくこともありました」
決めていないんじゃなくて、伝えていない。これは物差しを「家族が困らないか」にしたから出てきた気づきだと思います。自分の中で決まっていても、伝わっていなければ、残された人は困る。
次回に持ち越したこと
うまくいかなかったこともあります。
時間が足りませんでした。49枚を一枚ずつ見せて、全員の答えを記録して、それから分けて、話し合って、最後に一枚選ぶ。60分では、正直きつい。
あと、これは私の課題ですが、話が長くなりそうな方の話をどう切り上げるか。「ありがとうございます、では次に」と言えばいいだけなんですが、これがなかなか難しい。
そのあたりは、また次回に。
後編に続きます
長くなったので、いったんここで切ります。
実は今回、参加者9人分の〇×を全部記録してあります。49枚×9人分のデータです。
これを集計してみたら、けっこう面白いことがわかりました。
49枚のうち、9人全員が「×」だったカードが1枚だけあったんです。
次回はその話を書きます。
今日が人生で一番若い日、なんて言葉があります。オフ会でも使いました。
でもあれ、けっこう残酷な言葉だなとも思うんですよね。明日はもう今日より年を取っているわけですから。
だからまあ、プリンタが動かなくても、やってみてよかったです。
⭐ 問題の答え
正解は① 約 13%
2024年の「終活意識全国調査」によると、エンディングノートを「持っている」人は 13.3%でした。
一方で「エンディングノートという言葉を聞いたことがある」人は 84.3%。
知ってはいるけど、持っていない。
今回のオフ会で感じたことも、まさにこのギャップでした。
「ら・し・さノート」について
このブログでもたびたびご紹介している「ら・し・さノート」は、NPO法人ら・し・さが監修したエンディングノートです。項目に沿って書き込める構成なので、「何を書けばいいかわからない」という方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
参考文献
特定非営利活動法人ら・し・さ『終活アドバイザー講座〜自分らしく今を生きる』(執筆・監修)/ら・し・さノート
「終活意識全国調査」第2回(2024年調査)
Happy Endingカード(一般社団法人 日本Happy Ending協会)
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