⭐ 今日のクイズ
自筆証書遺言で、例外的にパソコンで作成できる部分はどこ?
① 遺言の本文(誰に何を渡すかの内容)
② 財産目録
③ 日付と署名
(答えは記事の最後に!)
「遺言を書いておいたほうがいいのはわかっているけれど、何から始めればいいのかわからない」「うちには子どもがいないけれど、財産はどうなるの?」——相続や遺言に関する悩みは、時代の変化とともにより複雑になっているような気がします。
ら・し・さノートのP.14~P.15では、相続・遺言に関するよくある疑問を3つのQ&A形式で紹介されています。ご自身で記入するページではありませんが、知っておいて損はない事例だと思います。
Q1 遺言を書きたいと思っています。どうすれば良いでしょうか?
遺言を書くことは、「争族」を防ぐための大切な手段のひとつです。ただし、遺言には厳格な方式が定められており、その方式が守られていない遺言は法的に無効になってしまいます。せっかく書くのであれば、有効な遺言を残しましょう。
一般的な遺言の種類には、大きく分けて2つあります。
自筆証書遺言
遺言者本人が直筆で書いた遺言書です。遺言の全文・日付・氏名を手書きして押印(シャチハタ不可)します。費用がかからず手軽に作れる反面、書き方を誤ると無効になるリスクがあります。
2019年の民法改正により、財産目録のみPCの使用や通帳のコピーの添付などが認められるようになりました。また、2020年7月から始まった「自筆証書遺言の保管制度」を利用する場合以外は、遺言の存在を確認するための「検認」(変造防止のため、裁判所が遺言書の存在を確認する手続き)が必要です。
公正証書遺言
公証役場で公証人という法律の専門家のもとで作成する遺言書です。依頼する手間や公証人への手数料が発生しますが、法的なトラブルが予想される場合や、確実に意思を残したい場合には公正証書遺言が安心です。
なお、遺言は何度でも書き直すことができます。法的に有効な遺言が複数あった場合、重複している遺言事項については日付の新しいものが優先されます(遺言の方式による優劣はありません)。
📝 ポイント
遺言書は「書いて終わり」ではなく、家族構成や財産状況の変化に合わせて見直すことが大切です。
Q2 子どものいない夫婦です。夫にもしものことがあったら、義兄弟に財産が渡るのでしょうか?
「私たち夫婦には子どもがおらず、財産と呼べるものは夫名義の自宅ぐらいです。夫にもしものことがあったら、夫の兄弟は相続財産の1/4をもらえる権利があると聞きました(夫の両親はすでに他界)。預貯金はそれほど多くないので、自宅を売らなければ兄弟に分けることができないかもしれません」——こういったご相談は決して珍しくありません。
この場合の対策として有効なのが、「自分の財産はすべて配偶者(妻)に相続させる」という内容の遺言を夫に書いてもらうことです。夫の死後、すぐに自宅の相続登記を行いましょう。
兄弟には遺留分(いりゅうぶん)の権利がありませんので、遺言があれば妻は安心して自宅に住み続けることができます。
ここで「遺留分」について補足しておきましょう。遺留分とは、相続人のために法律が最低限保障している財産の割合のことです。遺言によって相続財産を自由に処分することはできますが、無制限に認めてしまうと相続人を無視する結果となり妥当ではありません。そこで法律で遺留分が定められています。遺留分の請求権があるのは、配偶者・子・親です。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があれば兄弟への財産移転を防ぐことができます。
📝 ポイント
子どものいない夫婦こそ、遺言書の準備が特に重要です。「まだ元気だから」と先延ばしにせず、早めに検討しましょう。
Q3 「遺産分割協議書」とは何ですか?
遺言で具体的に指定されている場合をのぞいて、遺産は相続人どうしで話し合い、誰が・どの財産を・どれだけ取得するかを決めることになります。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
相続人全員が合意した分割内容を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。不動産や預貯金の名義変更、相続税申告の際などに、協議の結果を証明する書類として必要になります。
遺産分割はいつまでにしなければならないという決まりはありませんが、相続税の申告が必要な場合には、申告期限が「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月」(相続税法)となっているため、それがひとつの目安となります。
📝 ポイント
相続人どうしの話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停や審判に移行することもあります。円滑な相続のためにも、遺言書の準備が有効な備えになります。
あなたの法定相続人は誰?——法定相続人と法定相続分
遺言がない場合、亡くなった人の財産は法律で定められた「法定相続人」が引き継ぎます。相続人となるのは配偶者と一定範囲内の血族で、相続割合も法律で決まっています。
法定相続人と相続割合は、以下のようになります。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | その他 |
|---|---|---|
| 配偶者+子(孫・ひ孫) | 1/2 | 子 1/2 |
| 配偶者+親(祖父母・曽祖父母) | 2/3 | 親 1/3 |
| 配偶者+きょうだい(甥・姪) | 3/4 | きょうだい 1/4 |
| 配偶者のみ | 全額 | —— |
| 法定相続人なし | 遺言で相続人の指定がなければ、原則として財産は国庫へ | |
特に注意が必要なのは、子どものいないケースです。このケースでは親またはきょうだいが法定相続人になりますが、本人が知らなかった実の親や、きょうだい(親が離婚後にもうけた子や、父親が認知した子など)がいる場合もあります。戸籍を遡って相続人を確定しておくことが大切です。もめそうな場合は遺言などの対策も必要です。
また、子・親・きょうだいが複数いる場合は均等配分となります(例:子全体が1/2で子が2人なら、それぞれ1/4ずつ)。なお、養子・養親も含まれます。内縁関係の場合や離婚した元配偶者には相続権はありません。
まとめ
- 遺言書は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」があり方式を守らないと無効になる
- 2019年の民法改正で、自筆証書遺言の財産目録はPCで作成できるようになった
- 子どものいない夫婦は、遺言書でパートナーへの相続を明確にしておくことが重要
- 兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があれば財産を守ることができる
- 遺産分割協議書は、相続人全員の合意を書面にしたもの。相続税申告は10ヵ月以内
- 法定相続人の範囲と割合を事前に把握しておくことが、トラブル防止につながる
相続や遺言は「自分には関係ない」と思いがちですが、準備をしておくことで家族の負担を大きく減らすことができます。エンディングノートに財産や相続の希望を書き残すことも、大切な第一歩です。
⭐ クイズの答え
② 財産目録
2019年の民法改正により、自筆証書遺言の財産目録のみ、パソコンで作成したり、通帳や登記事項証明書のコピーを添付したりすることが認められるようになりました。ただし、財産目録の各ページに署名・押印が必要です。遺言の本文・日付・氏名は引き続き自筆が必要ですので、ご注意ください。
「ら・し・さノート」について
このブログでもたびたびご紹介している「ら・し・さノート」は、NPO法人ら・し・さが監修したエンディングノートです。財産や口座の情報、相続に関する希望なども書き残せる構成になっており、「何を書けばいいかわからない」という方にこそ手に取っていただきたい一冊です。遺言書を書く前の整理としても、大いに役立ちます。
参考文献
特定非営利活動法人ら・し・さ『終活アドバイザー講座〜自分らしく今を生きる』(執筆・監修)/ら・し・さノート
民法(相続法)改正(2019年施行)関連資料
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50代から始める「自分らしい」老後の設計図~後悔しない終活ロードマップ 
